”重い障害があったら病院や施設でないと暮らせない、一人暮らしなんてもってのほか”

そう思っている方も多いのではないでしょうか。

私も生まれつきの難病で身体障害があるので、一人暮らしができるなんて、子供の時は思ってもみませんでした。

しかし今はずっと生活していた障害者施設を退所して、一人暮らしをしています。

この記事は、障害があって一人暮らしがしたいけど方法がわからない人障害のある人の自立をサポートしたい人の参考に少しでもなればと思います。

施設を出たいと思ったきっかけ

施設を出たいと思うまでの環境

私は6歳の時に障害者施設に入所し、同時に施設と隣接している特別支援学校に入学しました。
高等部まで通いましたが、卒業後は行き場もないので、そのまま施設で生活することになりました。

私が生活していた施設はかなり重度の障害のある方が入所する施設で、自由にしゃべることも難しい人がほとんどでした。
施設から通っている生徒は卒業後も施設に入所し、そのまま生涯を閉じるというのが”普通”でした。
高等部での進路学習で進学や就職がいかに難しいかということを知り、現実の厳しさに打ちのめされていたので、一人暮らしがしたいなんていうことは1ミリも思っていませんでした。

なぜ一人暮らしを目指すようになったのかというと、20歳になって障害者年金をもらえるようになったからです。
それまではとにかくお金がないせいでやりたいことができないということが多かったので、お金があれば選択肢が広がるのではと思いました。

それと施設での生活の窮屈さもありました。

施設での生活の窮屈さ

決められたスケジュールで生活しなければならない
起きる時間寝る時間ご飯の時間など決められたスケジュールを守らなければなりませんでした。

お風呂週に3回
お風呂に入れる曜日や時間が決まっているので、入りたい時があっても入れませんでした。

トイレにすぐに行けない
他の利用者もたくさんいるので、スタッフの手の空いていない時はすぐトイレに行けませんでした。
忙しいとイライラしている人もいるので、手が空いているか顔色をうかがいながら頼んでいました。

食べるもの着るものも自分で選べない
食べるものはもちろん給食です。
服は年に2回くらいスタッフが買ってきたものを着ていました。

4人部屋でプライベートがない
事故の無いように見守りが必要な人がほとんどなので、カーテンは基本開けっ放しでした。
部屋と部屋との間の壁も上が透明になっていたので、常に誰かに見られているような落ち着かない感じでした。

無料で外出できるのは年1回

年に1回ある外出サービスと、スポーツ大会などの施設の行事以外は無料で外出できませんでした。それ以外で施設のスタッフに外出の付き添いを頼むと、莫大な人件費がかかります。

以上のように窮屈なことがたくさんあり、施設から出て生活したいと思うようになりました。

学校も卒業してしまったので、施設以外の人と関わることもほとんどなくなり、強い孤独を感じていました。
他の入所している人が社会との関わりもほとんどなく、施設に入所したまま生涯を閉じていくのをたくさん見てきて、自分もこのまま何もできずに死んでいくんだと絶望していました。

施設から出ると、ヘルパーや訪問看護などの公的サービスも受けられるようになるし、就労もできるようになるのではと思いました。

一人暮らしを実現するための行動

周囲の人に気持ちを伝える

とりあえず相談に乗ってくれそうなスタッフや相談支援員に、施設を出て生活をしたいと伝えました。

幸い、出たいという気持ちを理解してもらえて、むしろ出たい方が普通だと言ってもらえました。
でも田舎は社会的資源(サポートしてくれる事業所などのこと)が少ないので、もっと都会に出ないとできないかもしれないと言われました。

施設のあるところが結構田舎だったので、在宅生活のサポート体制が不十分でした。
相談支援員も、重い障害を持ちながら一人暮らししている人の情報がなく、支援したい気持ちはあっても支援の仕方がわからないようでした。

相談支援員に任せっきりにしてもきっと何も進まないだろうと思ったので、自分でも行動できることをしてみようと思いました。

一人暮らしを実現している人の話を聞く

私はふと、高校生の時に学校に講演に来られていた、障害を持ちながら一人暮らししている人を思い出しました。
名刺をもらっていたので、連絡してどのようにして一人暮らしに至ったのか聞いてみようと思い、メールをしました。
すると、一人暮らしするまでの経緯や、一人暮らしするにあたってお世話になった方の連絡先を教えてくださいました。

そのお世話になった方も重度の障害を持ちながら一人暮らしをされている方で、私はその方にもメールをして、一人暮らしするまでの経緯を聞きました。
使える福祉制度なども教えてくださり、自由に暮らしておられる様子も聞くことができました。

実際に一人暮らしされている方のお話を聞くことができ、自分にもできるんだと自信を持つことができました。

しかし、それなりに準備は必要で、中でも家を見つけることが大変だと言われました。
障害者用の公営住宅が家賃も安く、バリアフリーで住みやすいが、なかなか空きが出ないため10年以上空くのを待つ人もいるとのことでした。
空くのが待てずに民間住宅に住む人もいるが、家賃も高く、畳や段差でとても住みづらいそうです。

障害者用の住宅が空くまで待った方がいいのではというアドバイスをいただき、それまでは施設で生活しながら自分にできることをしようと思いました。

実際に足を運ぶ

それからしばらくして、外出サービスを使って、アドバイスをくださったお二方にお会いしに行きました。

地域の相談支援センターにも相談しに行き、その時に障害者用のグループホームを紹介していただきました。
良い機会なのでその足でグループホームに見学しに行きました。建物も新しく、部屋も個室でとても雰囲気がよさそうでした。
料金も年金でまかなえそうで、空き部屋もあり、スタッフの方もウェルカムな感じだったので、とりあえずここに住もうかなと思いました。

突然家が見つかる

しかし、なんとそれから数か月後に障害者用の公営住宅の空きが出ました。
チャンスだと思い、すぐに応募しました。
本当は抽選で決められるのですが、ほかに応募している人もおらず、あっさり当選しました。

10年以上待たないといけないかもと思っていたので、まさかこんなに早く見つかるとは思ってもみませんでしたが、とても嬉しかったです。

入居日まであまり日にちがなかったので、施設のスタッフと一緒に急いで準備を進め、無事一人暮らしをスタートさせることができました。

施設の仕組みの問題点と今後の社会への願い

施設の仕組みの問題点

施設を出たかった気持ちを書いたので、施設ってなんてひどいところなんだ!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

確かに私にとって施設は窮屈な場所ではありましたが、それは施設のスタッフが悪いのではなく、施設の仕組みが悪いのです。

実際私は周りのスタッフに恵まれていたと思っていて、引っ越しの時もかなり手伝ってくれましたし、何より施設を出たいという気持ちを理解して尊重してくれたことにとても感謝しています。
施設から出ることをスタッフに反対されるケースも多いようです。

施設では少ない人手で多くの障害のある人の生活のサポートをしなければならず、心や時間の余裕がなくなってしまうのです。

それに施設は障害がある人が生きるための最低限のサポートする体制は整っていますが、仕事や趣味、外出など社会との関わりを持って人間らしく生きるためのサポートはしてくれません。
きっと世の中から、社会と関わりを持って生活することなんて不可能だと思われているからだと思うのです。

私たちは体が動かないだけで、中身は皆さんと同じ心を持っていて社会と関わりを持ちながら生きていきたいと思っています。

私はしゃべることはできますが、重度の障害で言葉がうまく話せない方たちは意思がないと思われて、人間らしく扱われないこともあります。
しかし、それはこちら側が汲み取れていないだけで、きっといろいろなことを感じ、考えています。

障害のある人が生きやすくなるためには

日本では障害のある人が生きるための制度は整っていて、私もそれに助けられていますが、自分らしく生き生きと生きるための制度はまだ不十分だと思います。
スウェーデンなどの福祉先進国は私がいたような大規模な施設は廃止され、個人に合ったサポートが確立されているようです。

障害のある人が生き生きと生きられるように、自分たちが社会と関わりを持ち、人の役に立ちたいということをどんどん発信していきたいなと思っています。

自立したいと思っている障害のある人へアドバイス

実現している人に聞いてみよう

一番有益なことを知っているのは、支援者ではなく、実際に一人暮らしをしている当事者の方だと思います。
楽しいことも大変なことも、制度の使いやすさや使いにくいところも一番よく知っているのは当事者の人です。

福祉制度は自治体の裁量によるところが多く、地域差がかなりあります。
自分が住みたい地域に住んでいる方の意見が聞けると、より参考になるかと思います。

SNSを使おう

自分のしたいような生活を作っていくためには、情報発信することが一番大切だと思います。

自分の周りの身近な人に、自分がどういう生活をしたいか伝えることももちろん大切です。
それに加えて今はインターネットが発達しているので、挑戦したこと、困っていることなど自分のことをSNSなどで発信すると、誰かがリアクションをしてくれます。
そして自分と同じような仲間とつながることができ、自然と情報も集まってきます。

自分が発信することで、興味のあることにアンテナを立てることができ、情報を見逃すことも少なくなってくるのではないかと思います。

私もSNSなどで発信することで同じような状況の方や応援してくれる方とつながりができて、情報も得やすくなったと思います。
スマホやパソコンがあれば簡単にできるので、なかなか外に出られなくても社会とつながりを持てるので、とてもおすすめです。